諸行無常」カテゴリーアーカイブ

ふぐ

きみは毒を持っている。 肝の部分にたっぷり持っている。 食べると痺れて死ぬかもしれない。 でも、綺麗にさばいて 取り除いてしまうから。 肝は鍵の掛かった箱に しまわなければならないらしい。 猫が食べると 命を落とすからだ … 続きを読む

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レディオ体操

レディオ体操が ダンスのように見えてきた。 だってあれは最初からダンスじゃない という人がいるかもしれないけれど 「体操」という言葉が 芸術的な側面を剥ぎ取って 医療的な何かのように 見せていたものだから私は 勘違いして … 続きを読む

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秋はいつ終わる

バスは乗り心地が悪かった。 低いギアのまま ぎくしゃくした走りだった。 バックミラーには 運転手の顔の下半分が映っていた。 顎は細く、唇は薄かった。 うっすらと髭が生えていた。 目が見えない相手を 睨むことができないのは … 続きを読む

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立冬である。 私は冬を 呼んだ覚えはないけれど、 冬は呼ばれなくとも勝手にやってくる。 そして雨が降っている。 それは出遅れていることの しるしなのかもしれない。 小さい頃は夜が好きだった。 ほんものの夜だったからである … 続きを読む

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霜月

太陽に匂いなどないはずだけれど、 太陽の匂いを知っているような気がする。 文化の日。 空は青かった。 こうして高くなってゆくのは 空なのか私なのか。 湿度計を見ると針は 三十パーセントのところを指している。 どうりで足が … 続きを読む

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ディスタンス

膨らんだ月が 空にあることを どうしたものかと ベランダから見ていると 雲がそれを隠す。 取り出したものが おかしなものだったなら それは取り出し方が 悪いのだと思う。 箱の中では確かな形を持たず、 取り出す時に形は作ら … 続きを読む

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やさしさ

「やさしい」ということはつまり 「かんたん」ということです。 ですから、ひとは 「かんたん」なものに対して 「やさしく」できるのでしょう。 つまり、やさしくされるということは かんたんだと思われているということです。 つ … 続きを読む

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神無月2015

神のいない月がやってきて またしても猫たちは海を見ている。 石造りの建物からは 海を見るしかすることがないのだ。 光と それから影に分かれて 対話するのが季節というものだろう。 何を求められているのか 絶対に考えてはいけ … 続きを読む

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色彩

光の展示を見て歩く。 色の感じが違うのは 建物の形状と密集の度合いが 違うからなのだろう。 どこまでも続く石畳の上を 歩きながらそんなことを考えていて、 これは見えるものだが、 見えないものも このように違っているのでは … 続きを読む

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川を見に行く

遠い街に行っていた。 時計を七時間巻き戻して 今日をやり直す。 高台に登ってアディジェ川を見た。 太陽はまだ、光を強く放っていたけれど、 もう建物の影が川に落ちていた。 なぜ行くのですか 人はそう問うけれど、 私にはどん … 続きを読む

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