諸行無常」カテゴリーアーカイブ

信頼

世の中で起きていることは どんなことも奇蹟みたいなことだから いちいち喜んだり悲しんだりしてもいいと思う。 そんなことを言うと 自分もずいぶんと遠くに来てしまったのだなと つくづく思うのだけれど、 先輩の言うことはほとん … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 信頼 はコメントを受け付けていません

おちてゆく 花びらのことを見ている。 強い星の引力にも舞って見せるのは 夢のような想い出につながって そうして記憶の中に静かに着地する。 どんなことも浮遊する。 とどまって見えるときは 引き寄せる力と 離れてゆこうとする … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 風 はコメントを受け付けていません

四月

桜が咲いている。 春がやって来たのだろう。 私は遠く眺めている。 ポケット壜には少しウイスキーが入っている。 喧騒から離れて 川沿いの道をひとり歩いている。 いびつになってはいけません。 それだけを気をつけていればいいん … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 四月 はコメントを受け付けていません

調律師

雨の日に調律師はやって来た。 「特に他の楽器と合わせることがなければ  少し高めに合わせておきますね」 と調律師は言った。 チューニングハンマーとフェルト それからスティックを差し入れて 調律師が鍵盤を叩くとピアノは 澄 … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 調律師 はコメントを受け付けていません

ピアノ

ピアノを買った。 それもひとつのあこがれであった。 男たちは二人で それを横にして運び込んだ。 ドアを外して回転し、 それからそっと起こした。 ピアノは私のそばに 静かに配置されたのである。 何のためにピアノを買ったので … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | ピアノ はコメントを受け付けていません

あこがれ

弥生、三月が進むなら 春を待つ人々の気持ちにもきっと 光が増してくるだろう。 日本人は「あこがれ」の強い民族です そうテレビの四角い枠は言った。 私たちは強い「あこがれ」によって 突き動かされているのであるから どんなこ … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | あこがれ はコメントを受け付けていません

夜について

夜はもっと静かで 夜はもっと冷たく 夜はもっと個人的で 夜はもっと秘めていた そう思ってきた。 酔った深夜の路上で ふと気付くと私は 夜からはみ出していた。 夜はもう私のために存在しない。 裏切ったのか 裏切られたのか … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 夜について はコメントを受け付けていません

春を待つうた

なにしろ春が来ようというのだから 雨が降ったり、風が吹いたり、 光が降り注いだりするのも当然の ことだろうと私は思う。 公園には沢山の人が溢れていて 手を繋いで幸せそうに歩いていたりするけど、 池には水が無く、 魚は泳い … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 春を待つうた はコメントを受け付けていません

こころ

できないことを できるようにしたり、 苦手なことを なんとか克服しようとしたり、 そんなことを 長い間してきたものだから できることは何だったか 得意なことは何だったか 分からなくなってしまった。 一般的であることを 誰 … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | こころ はコメントを受け付けていません

博士

春の嵐になるでしょう 予報士はそんなことを言っている。 私は吹き飛ばされるものはなくて 私自身が空を舞うものであるから 怖れはないのだけれど。 人の幸福とは いかに繋がるかということです と、博士は画面の中で言った。 で … 続きを読む

カテゴリー: 諸行無常 | 博士 はコメントを受け付けていません