諸行無常」カテゴリーアーカイブ

立冬

冬が暦に現れるようになると 夜は私に冷たくするようになった。 それは私のせいではないが、 暖かい南の国から辿り着いたゆえ、 私にも何らかの落ち度があったのではないかと 思ったりする。 点滅する光を、自転車に灯して夜を走る … 続きを読む

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入り口

いつだって入り口である。 夜、ベランダに出てみると 当たり前のように オリオン座が昇っている。 季節はシフトチェンジをして 冬に向かっている。 車屋は私の留守番電話に 新しい車の試乗会があると吹き込む。 売りたい者は 買 … 続きを読む

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季節

今日から季節が変わったと思えることが 時々あるけれど、 それはたぶん その日の風向きのせいで、 仕事のように スケジュールの線が引かれるものでは ないのだと思う。 つまり、入り混じっていて 混沌としたものだろう。 そうい … 続きを読む

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測定

いつまでもやってくる台風のせいで 夏を引きずったまま空を眺めている。 前線はいつまでもそこに横たわっていて 私が望む高い空は なかなか見ることができない。 空気に含まれた南のこころざしが 南側の窓から流れ込んでくる。 こ … 続きを読む

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神無月

十月の東京に神はいない。 空はまだ曇っていて ときどき雨を落とす。 日が暮れるのがずいぶんと早くなって、 人の居る場所に 灯りがともる。 私は私の灯を背負って ベランダからそれを見ていた。 幼い頃 家の前に小さな沼があっ … 続きを読む

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静止

カフェの壁には大きな絵がかかっている。 そこには池が描かれており、 池の周りには歩道があって いくつかベンチが置かれている。 犬と散歩をしている紳士と ベビーカーを押している婦人がすれ違う。 池に浮かんだボートには 恋人 … 続きを読む

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落ちてくる というより吸い寄せられている と思うことで ずいぶんと世界は変わってくる。 尖った棘。 薔薇の棘のような前線が 内側は丸いということを 私は知っている。 それは雨のラインだ。 午後五時になると 鐘の音が響いて … 続きを読む

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配置

どんな事も遠くなりはじめ どんな物も美しくなりはじめ どんな場所も静かになりはじめると たぶん角を曲がったところだ。 雰囲気や語感といった 体感的なものばかりを 受け取ろうとすると どんなことも停滞する。 根本的な意図は … 続きを読む

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長月

九月になった。 空は少し、高く広くなった。 いくつかの台風が通り過ぎて 光が変わってきた。 まだ蝉は鳴いている。 ダムの水位はだいぶん上がったようだ。 それは私の部屋に付いている 蛇口に繋がっている。 遠く感じるものでも … 続きを読む

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Blue Heaven

暗くて青いものを探していたら 空だった。 暗くて青いものを探していたら 海だった。 ただそれだけのことだと思う。 人々は時々、手品師を必要とする。 何もないところから ぱっと何かを取り出す。 それは魔法ではない。 手品な … 続きを読む

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