投稿者「ino」のアーカイブ

夏のこと

いつの間にか変わっているのが 季節というものだとしたら それは季節のことを あまり見ておらず いつも考えていないということだと思う。 想いを費やしていないことは 「いつの間にか」変わる。 深く物事を見て いつも考えるよう … 続きを読む

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闇の光

東の空には丸く大きく見える月が 西の空には遠く花火が上がっていた。 どん、どん、と低い音が ずいぶん遅れて私に届いた。 ベランダにはぬるい風が吹いていて、 今暮れたばかりの空の端に まだいくらかの光が残っている。 夏なん … 続きを読む

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文月二千十七

七月にもなると 世間は七夕などと言って 願い事を短冊に書いて吊るすのだろう。 私には家族というものがないから、 ささやかな願い事を ひとに見せる機会もないだろう。 そういえば 世界はいつからこんなに速くなったのだろう。 … 続きを読む

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雨季

六月になると 空から雨が降り続き 世界が水色になってゆくだろう。 そう思っていたが 今年の六月は少しイメージが違う。 世界はエンターテイメントではないから 思った通りに物語は進まない。 魅せ場は適切に配置されてはいない。 … 続きを読む

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古い空気

七十年代のロックには どこかに影みたいなものがある。 音楽は時代を流し絵みたいに写し取るから たぶんそういう時代だったのだろう。 私はそういう薄暗さが好きで 七十年代のロックのアルバムを買って来ては それを取り出している … 続きを読む

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のおと

この頃、とても長い夢を見る。 夢の中で何日も何ヶ月も過ごしている。 そしてそこでもやはり 不安定な生活を送っている。 日々色々な問題が起こって それをこなしたり、やり過ごしたりして 何とか毎日を送っている。 たとえ夢の中 … 続きを読む

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欠点を直さない

いつからが夏だろうか と考えたりするけれど、 季節に区切りなどないのだった。 自然のものは何でも区切られてはおらず、 はっきり区切りたいのが人というものだ。 緩やかに変化することを 受け入れることから始めると いいのだと … 続きを読む

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ジャスミン

夜に ジャスミン流れていた。 よく見ると 生垣に白い花たくさん咲いていた。 その香りは 幼い頃に忍び込んだ 製茶工場の暗がり思い出させる。 蒸した新茶の葉 ベルトコンベアー昇って行く。 青い香り時空を越えて 過去の扉開け … 続きを読む

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彼女は不機嫌そうに見えた。 電車の向かいの席に座って、 眉間に皺を寄せ、右斜め上を睨んでいた。 右斜め上には何があるのかというと 特に睨みつけるようなものは何もなかった。 真ん中で分けたストレートの髪は 肩よりも少し長い … 続きを読む

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五月になれば

五月が静かにやってきて 空と雲の関係が変わってくる。 風は南側のカーテンを揺らす。 もしもブラインドであったならば 風との関係性はもう少し金属的だったはずだ。 レースのカーテンは滑らかに波打って 何かを言いたげに見えるが … 続きを読む

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