二十三.四

地軸が少し
傾いているせいで
金木犀が香る。
隣の会社の生け垣が
金木犀なのだ。
オレンジ色の小さな粒。
季節は彩って香るものだ。
真っ直ぐなことが、正しいことだと
思い込むのは浅はかなことだ。
よいこと、やさしいことは
みんな傾いている。
そうでなければ、
判で押したように
まったく同じ毎日を
ただぼんやりと送ることなる。
少し嘆いて
空を睨んだところで
地軸の傾きが直るわけでもない。
そういうふうに
できているのだから。
物事のよい面を知っていながら
知らない振りをして
つべこべ言ってみたりするのは
抑圧された人間の
ストレスの発散法だろうか。

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