颱風

当たり前のように九月がやってくると
さらに空を見上げることが増える。
入り口がなければ、出口もないのが
季節というもので、しかし一年という期間を
体に刻むために十分な違いを持っている。
そして僕は、券売機から出てきた定期券が印字された
Suicaをしげしげと見ている。
アンドロメダ星雲まで行くことは出来ないが
それが僕の生業というものなのだ。
もうすぐ颱風が来るよ。
その事をみんなが知っていて、
みんな口々に颱風のことを言う。
よく知っている知人のように言う。
その勝手な行動について科学的に解釈する。
しかし、それは抗えない事実への
ささやかな仕返しのようなものだ。
歓迎もしなければ反対もせず
ただ受け入れる、それが秋というものだろう。

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