雨の季節が続く。
棘とイボが交互に付いた線が
天気図の上を這っている。
これがある間は雨が続いて
青い空が恋しくなる。
そういえば、この間
「恋」を辞書で引いてみたら、
「一緒に生活できない人や亡くなった人に
強くひかれて、切なく思うこと。
また、そのこころ。
特に男女間の思慕の情。恋慕。恋愛。」
とあった。
そうだ、恋というのは、遠くて
そして思うようにならないものなのだ。
あらがわない生き方ができるものだろうか。
と、ときどき考える。
フランツ・カフカの小説のように
朝起きたら虫になっているわけではないが、
朝、鏡を見る時、それにも匹敵するくらい
落胆することがある。
変わってゆくことが当たり前ならば
それにあわせて、変わってよかったと
思えるようなものを、手に入れておかなければ、
後ろ髪を引かれて、次のステップにうまく
移行できないものなのだろう。
形があっても、無くても。
それは執着とは少し違ったかたちで
きっと美しい想い出のようなものだろうと思う。