停滞する前線には気をつけて

天気図を見て「あれ、まだ五月だったよな」と思う。
だって、日本を横断するように長い前線が伸びて、
台風までグルグルとそこに印されている。
どう見たって梅雨時の天気図ではないか。
案の定予報では、今週いっぱい雨が続くことになっている。
雨の音は好きだ。
空から雨が地表に降り注ぐということが不思議でしかたない。
空を見たり、地面を見たりしてそのことを確かめる。
ある程度の重さになると、引力によって地球に引きつけられ、
地表で水蒸気という細かな粒になって、また空に舞い上がる。
なぜ、行ったり来たりするのか。
そういうものだ、そういうふうになっている
と、ずっと教わってきた。それが原理というものだ。
そしてそれを理解してきた。
でも、理解しただけで当たり前の箱に詰め込んで
蓋をしてしまうのは、
ちょっともったいないのではないかと最近思う。
考えるべきなのは、それが僕にもたらす効果について
なのではないだろうか。
駅前の安売り店で買った大きな傘を差して
僕はバス停に向かうところだった。
角を曲がると、ツツジがオレンジ色の花を沢山つけて
怪しく雨に濡れていた。

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