駅でも何でも、「入り口」とはどこにも書いていない
のに「出口」というのはそこら中に書いてある。
出口から出ると、そこが入り口でもあったりする。
入り口は常に見つかるが、出口はまるで見つからない
そういうものなのかもしれない。
「人間関係」ってなんだか凄い単語だなと思う。
「人間」の「関係」だもの。
英語だとhuman relationとか言うのだろうか。
でも、職場の人間関係という場合は単にrelationshipと
いうのではないだろうか。よく知らないけど。
「人間関係が複雑で」などと聞くと、さらに何か
とんでもないことが起こっているような気がして
なんだかちょっと笑ってしまうのだが、そういう
ことを考えてにやけていると、怪しさに拍車が
かかってしまうので、黙っている。
ところで、何かをちゃんと行うためには、その前に
儀式を行うことが必要なのではないかと思う。
儀式といっても特別なことを言っているわけではなくて、
たとえば、音楽を聴く前に、レコードを慎重にジャケット
から取り出して埃を拭いて、針をのせるとか、
料理をする前に包丁を研ぐとか、手紙を書く前に
万年筆のインクを補充するとか、ご飯を食べる前に
お祈りをするとか、そういうこと。
世の中が便利になってゆくのはかまわない、歓迎する。
しかし、人は、儀式が必要なものなのだ。
何かを行う前には心をそちらに向ける必要がある。
そのための小さな儀式を忘れないようにしたい。
深呼吸をしてから望みたい。
映画館で映画を観たり、ライヴに行ったりするのも
そういった儀式を踏まえて、何かをすることに意味が
あるからなのだと、この頃僕は思う。