静寂とは違う静謐

バスのアイドリングストップっていうやつが嫌い。
渋滞した朝の道路で、突然やってくる静寂。
差し込む朝陽、他人の息遣い、誰かのイヤフォンからシャカシャカと漏れる音。
遅れている時に限って、度々停止するエンジン。
混み合った車内、額から汗、焦燥感、馬鹿にされているような気持ち。
お願いだから、エンジンをかけて。
そう願っている僕の足下から、ぶるるんとエンジンが始動する。
その度に僕は救われたり、落胆したりを繰り返す。
静寂は人数に関係なく、静謐はひとりで味わうもの。

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