水をやる

夕方、雨が降った。
銀色の空がどこまでも続いていて、冬の色だった。
僕は雨が上がるのを待って会社を出た。
正門の守衛さんに、失礼しますと言って
通りに出ると息が白かった。
昨日、半分だった月はどこにも無かった。
さっき雨が上がったばかりの道路は、しっとりとりとぬれている。
また気温が少し下がった。
植物に水をやるように、空は大地に水を注いで
季節を育てている。
静かに冷やしてゆく。

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