温度

八月になって立秋も過ぎた。
太陽の傾きは増して残暑の光。
しかし南から吹く風は灼熱を運んでくる。
人間が許容できる「温度」は狭い。
四十一度の風呂には入れるが、
四十五度の風呂は熱すぎて入れない。
三十六度の体温は平熱だが、
四十度の体温は高熱である。
ほんの数度で人には受け入れ難い環境になる。
最高気温が三十六度とか三十八度とか、
クーラーというものが発明されていなければ
自分なんかはとっくに伸びている。
色々なことがずいぶんまずいことに
なっているような気がする。
私が気に病んでも、そこに画期的な何かが
できるわけではないのだけれど、それは
すべて人によってもたらされている危機で、
私もその愚かな人の一味なのである。
そういう絶望の膜に覆われて、今日も
空に浮かぶ入道雲を数えている。

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