訃報

こちら側の世界では、
光がさして雲が流れ
鳥が囀っている。
このところ訃報が続く。
近い人、遠い人、有名な人
どんな人も私の形を明らかにするための
杭のような存在であったものである。
人は必ず死んで消えてゆくが、
若い頃に受け止めた「死」というものと
歳を取ってからやってくる他者の「死」は
ずいぶん違うものになっている。
杭の距離が近くなっていて
すぽんとそれが抜かれてしまったような
気持ちになるのだ。
途端に私の形が少し曖昧になってしまう。
そういうことが連続で起こる。
瞳を閉じる必要はなく
祈りは空に広がってゆく。

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