タスクマネージメント

知り合いに真面目な小説を書く人がいる。
彼女の書く小説は働く女性の小説で、
主人公が行うタスクが詳細に書かれている。
仕事だけではなく、私生活でおこなう
家事や介護や家族やその他の
色々な作業ややり取りについて細かく記述され、
そして個々についての主人公の見解も書かれている。
たぶん彼女自身が、そうとう仕事ができる
人なんだろうと思う。
「仕事ができる」とはやるべきこと、
つまり「タスク」を見出しリスト化し
優先度を立てて着実に処理することだからである。
しかし、私は彼女の小説を読むと
どうにもくたびれた気持ちになる。
日頃、気にも止めないで行っているような
「タスク」が全て書いてあり、
そうか、私たちは日々こんなに沢山のことを
やっているし、やらなければならないんだと思うと
なんだかそれだけでくたびれてしまって、
色々なことが嫌になってしまうのだ。
彼女の小説が悪いというわけでは決してないが、
私はタスク化しない人間なのだということが
よく分かってしまうのだ。
私にとって小説は、そして日々の生活は、そのような
「仕事」の延長線上にあるものではないようだ。
だからうまくいかない事が多いけれど
それでもなんとか楽しみや新しいことを
見つけ出せるのだろうと思う。

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