文月二千十七

七月にもなると
世間は七夕などと言って
願い事を短冊に書いて吊るすのだろう。
私には家族というものがないから、
ささやかな願い事を
ひとに見せる機会もないだろう。
そういえば
世界はいつからこんなに速くなったのだろう。
台風3号は回る。
コリオリの力を見せつけて。
幼い頃は嫌なことばかりだったから、
時間がなかなか進まなくて
早送りボタンを押し込みたいくらいだった。
そういう願いが強すぎたのか、
ボタンを押し込んだまま
壊れてしまったようだ。
私に今必要なのはせめて一時停止ボタンだろう。
まさか巻き戻しなんかできないし。
でも停止ボタンを押しそうで怖いこともある。
たくさん雨が降っている。
風だって吹いている。
雷も暗闇にときどき光を放っている。
どんどんやればいいさ。
相変わらず私には物語が不足している。

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