古い空気

七十年代のロックには
どこかに影みたいなものがある。
音楽は時代を流し絵みたいに写し取るから
たぶんそういう時代だったのだろう。
私はそういう薄暗さが好きで
七十年代のロックのアルバムを買って来ては
それを取り出している。
それは懐かしさではない。
聴いたことのない七十年代の曲も沢山ある。
それは希望や諦め光や影のバランスなのだ。
古いウイスキーを飲むようなこと。
もしも今同じことをしても
それは2017年の音になる。
いいとか悪いとかそういうことではなくて
その時代の空気というのは
その時代にしか封入できない。
それは何だかとても不思議なことだけれど、
技術や想いや色々なことが
常に変化しながら流れているということだと思う。

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