淡い日々

季節の変わり目というのは
実のところ大変なせめぎ合いで
冷たいものと暖かいものとの
戦いなのだけれど、
私はなぜかそれを淡く感じ取る。
気圧の変化が
私を眠りに誘うからかもしれない。
春先には夢をたくさん見る。
ディテールは短い時間で損なわれるけれど
ぼんやりと
何か本質への糸口のようなものが残っていて、
そのことをずっと想っている。
私はずいぶん遠慮がちに
人生を送ってきたつもりだったが、
どんな時もそれが裏目に出て
私を行き止まりの道に誘い込んだ。
しかし、それが紛れもない私なのである。
そして私にしか見えないものがある
ということなのである。
今日もいつものように暮れて行き、
私はソファーに座って
ステレオセットでトランペットを聴いている。

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