文月

とても暑い。
それが七月の洗礼というものだろうか。
スーパーにバジルの葉は無かった。
ジェノベーゼを作ろうと
心の中で決めていた私にとって
それは大きな痛手であったが、
レシピというものは
ある一方方向からの見方なのであるから、
逸脱しても一向に構わないのだ
そのようにもうひとりの私が言った。
なるほど、それならば大葉で
代用すればいいか。
志というのはそのようにして
修復されるものでもあった。
松の実、にんにく、チーズ、オリーブオイル、
そのようなものと
フードプロセッサーで掻き混ぜると
何となくそれっぽい物ができた。
私は勝利した
この七月の暑さに
まずは一勝したのだ。
しかしこれはトーナメントではなくて
たぶんリーグ戦なのである。
先のことは分からない
けれど、食べることに気をつければ
生き物である私の
意思は守られるのだと思う。

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