明日は雨が降ると予報士は言った。
四角い画面の中から発せられる言葉を
まるで神の言葉のように信じたりして
愚かなことかもしれないと時々思う。
爪を切って、ピアノの練習をしている時、
音が湿っているような気がした。
アクションの先に付いているフェルトの
湿り具合のせいだろうか
それとも私の体と世界の間にある空気が
変わってしまったせいだろうか。
いつだって答えを求めてしまうけれど、
答えを知ったからといって
何かが変わるわけではないだろう。
碁盤の上の石のように
世界のどこに石を置くのかということが
自分自身の形を作ることなのに
何かをなぞろうとする。
正解がないことに間違いは存在しない。
一筆書きですべて書き上げなければ
ならないことの苦痛を
黙って下を向いてやり過ごそうとするが、
それさえも道の途中なのだ。
リボンをかけるように前線が
日本をラッピングしている。
空を見上げても空は見えず、
何が空だったのか
忘れようとしていることに気づく。

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