ソアヴェ

ガルガーネガ、という葡萄がある。
やたらと「ガ」が多いためか何処かに引っかかる名前。
日本では橋の名前に濁音は使わないそうだ。
川が濁らないように。
ガルガーネガは澄んだ葡萄酒になる。
私は丘の上からどこまでも広がる葡萄畑を見ていた。
涼やかな風が吹いていた。
坂道のオステリアに入って葡萄酒を飲んだ。
昼でもなく夜でもなく
午後遅い時間で店はがらんとしていて
店主は外で煙草を吸っていた。
雨は上がったばかりで石畳はしっとりと濡れていた。
私はソアヴェでソアヴェを飲んだ。
それだけの午後だった。

カテゴリー: 諸行無常 パーマリンク