如月

二月になった。
冷たい季節。
しかし、今年は風の日が少ないと思う。
北に向かって漕ぐペダルが重くない。
それが私にとっては
救いである。
世の中には
大きな救いと小さな救いがあるが
私そのものが救いに変わる日が来るだろうか。
忙しい日々が続いて
通信販売で沢山音楽を買ってしまう。
誰の顔も見ないで
ポストに届く包みの中に
それは入っている。
輸入物のCDは
万引き対策なのかあまりに厳重に
包装してあって、開けるのが面倒である。
誰のための包装なのかといえば
それは私のためではないだろう。
音楽があってよかった
そう思うのは
小学生の頃から同じだ。
ミュージシャンは音楽を生産するのが仕事であるから
誰のために何をしているということはないのだろう。
仕事とはそういうものだろう。
しかし私は、音楽を届けるシステムが
この世の中にあるおかげで
なんとか今日まで生きてきた。
利害というものがすべて悪ではない。
私の音楽は知らないところから発送されて
私のポストに届く。
それは私が働いて稼いだ金で
稼働させることのできるひとつのシステムだ。

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