零下

つめたい夜が続いている。
丸い月が冷えた街を暗く照らして
靴の音が変わったのがわかる。
雪など降って、
路面が凍結すると、
人と地球との関係は
あっという間に険悪になる。
その程度の危うさで
世界はできあがっている。
私はナッツの小袋に指を突っ込んで
塩気の効いたそれを
むさぼっているのだが
そろそろ自分のいやしさが
嫌になってくるころである。
あなたには私が見えますか
そう誰かが歌っていて、
声は聞こえるが姿は見えぬ
というのが正直なところだ
と私は思う。

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