わたしはどこにいるのか

この頃、遠く感じるようになった。
どんどん心が体から離れてゆく。
わたしはいったいどこにいるのかというと
大脳の隅の一握りの細胞の中である。
わたしがいなくても
この体は作動し続けるように
できているはずだ。
わたしの体の片隅にわたしは
間借りしている下宿人である。
わたしはわたしを
もてなさなければ
ならないような気がする。
わたしはわたしの体に対して
勝手すぎたのかもしれない。
望まぬ事を押しつけて
思うままになるような
気がしていたのかもしれない。
わたしは電源を落とすと
瞬間的に消えてなくなる
コンピューターの
メモリーのようなものだろう。
もうすぐ雨が
降り出すのだと予報士が
知った風に言っていた。
焼却場の煙は
南にたなびいている。

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