ふぐ

きみは毒を持っている。
肝の部分にたっぷり持っている。
食べると痺れて死ぬかもしれない。
でも、綺麗にさばいて
取り除いてしまうから。
肝は鍵の掛かった箱に
しまわなければならないらしい。
猫が食べると
命を落とすからだ。
毒のあるものから
毒を取り除いてまで食べようと思ったのは
なぜなのだろう。
毒があるものが旨いと
知っていたのだろうか。
そんなことを考えながら私は
新しい葡萄酒を飲んでいる。
それには太陽の房が詰まっている。
地球が一回転すれば、日が進み。
地球が一周すれば、年が進む。
この惑星に生まれたことで、
この惑星の回転や周回を
体に刻みながら生きている。
宇宙は遠い物だと思っていたが、
自分自身が宇宙そのものだったと
気付くのである。

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