秋はいつ終わる

バスは乗り心地が悪かった。
低いギアのまま
ぎくしゃくした走りだった。
バックミラーには
運転手の顔の下半分が映っていた。
顎は細く、唇は薄かった。
うっすらと髭が生えていた。
目が見えない相手を
睨むことができないのは何故だろう。
彼の右足に合わせて私は
前後に揺れなければならなかった。
私は彼に
疎んじられているのだろうか。
このごろ歳のせいか
ひがみっぽくなった。
窓の外を見ると
枯葉が風に舞っていた。
ほうきを持った清掃員風の男が
建物の周りを掃いている。
その頭の上から
枯葉が散っている。
大通りをいくつも横切って
道は北に向かっている。
ずいぶん昔に死んでしまった
同級生のことを思い出した。
ひとつの筋の上を
こうして歩いているはずだけど、
どんなものからも遠かった。

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