ポエジー

必要か必要じゃないかじゃなくて
詩情というものは
最初からあるんですよ。
と詩人は言った。

あるものをどのように捕まえて
かたちにするのかということ
そもそも創作というのは
そういうことなのだと思った。

無いものを作り出すことではない。
そういうことに
気付かないでいると
時間というものはどんどん
わたしを風化させてゆくのである。

いつだって怒りのようなものは
底の方で渦巻いているのだろう。
しかし、それは渦巻かせておけば
よいものであって、
こころは
ずっと離れた場所にいればよいのだと
そう思った。

もうすぐ雨が降り出すのだろう。
風は無く
洗濯物は湿ったままだった。
曇った空は光を損ないつつあって、
飛来する飛行機の光が
点となって高度を下げてゆくのが見えた。
わたしは洗濯物を取り込んで
部屋に吊した。
静かな日曜日の
夕方である。
とんどん暗くなってゆくが、
灯りをともしたくはなかった。

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