いくつもの蝉の林を抜けて
もくもくと高層に伸びる入道雲を見る。
ひぐらしの時間
色づいた綿菓子は崩れつつある。
まもなく闇のカーテンが引かれるのだ。
君は雷鳴を聞いただろうか。
ネクターの空気の中を
通り抜けてきたのだ。

取り壊された建物の跡地は
公園のようになるらしい。
田山くんが言っていた。
彼の言ったことが本当になる確率は
いつも半分くらいなのだけれど
そうなんだ
彼は笑っていた。
公園のようになるということが
可笑しかったのか、
私が可笑しかったのか
分からないが。

タイマーを使って
冷房装置を起動するようにすると
オアシスという言葉を
使ってもよいような気がする。

人は何かに依存していた方がいい。
恋人なのか、親なのか、家族なのか、
猫なのか、犬なのか、
音楽なのか、文学なのか、
組織なのか、社会なのか、
知らないけれど。

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