私の使用法

気付くといつもベッドの上に戻っている。
たぶんここが定位置。
タイムマシンに乗って毎日
出掛けてゆく私を知っている。
歩いている私。
空を見上げている私。
仕事をしている私。
あなたと話している私。
暗い道を歩いている私。
喜んでいる私。
悲しんでいる私。
様々な私。
私は私に会いに行く。
しかし私は私を使い果たして
静かにここに戻ってくる。
探したりはしていない。
淡々と循環の中にいて
月がへこんだり膨らんだりするのを
視界の端にとらえながら
どうしようもない道を歩いている。
答えなくてもよい。
全ての言葉が問いではない。
取り出すのは幸福の断片であるべきだろう。
なぜなら取り出すのはあなたではなく
私なのだから。

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