少しだけ明るい電球に変えてみた。
ただそれだけで、ずいぶんと世界は
違って見える。
目に見えるものの色というのは
すべて電球が放つ光の中に含まれている。
ものはただ光に対する素性をあらわにするだけで、
「色」というものがそれ自身に含まれてはいない。
全てを含んでいるものが
このまるい硝子の玉の中に閉じ込められていると思うと
電球というものが
とてもいとおしく感じられる。
耳を澄ませばよいと思う。
よく聴いて、そして自分の中の何かに
反応するものだけを捕まえる。
たぶんそれが自分を表すものである。
ちゃんと選ぶということが
自分を見失わないことなのだと
この頃思う。
ゼロというのは箱ではなくて
オフセットなのだ。
すなわちある地点、開始点の位置。
ゼロという箱はないが
イチという箱はある。
イチというところまで到達してはじめて
それまでの軌跡を箱としてもよい
ということになるのだ。
箱を生み出さなければならないと思う。