主題

日々の生活にテーマなどないが
あってもいいかもしれないと
この頃思う。
テーマをもって書かれない小説は
面白みのないものになるだろう。
テーマとはふるいのようなもので、
ものごとの粒をそろえる。
またテーマとは光のようなもので、
ものごとの一方から照らし、
伸びる影の長さを見せる。
私はテーマというのは
後から滲み出てくるようなものかと
ずっと思っていたが、
それはテーマではなくて
素性というものだった。

風邪を引いて寝込んだ。
父親の葬儀の日が寒すぎて、
帰ってきてすぐに寝込むかと思ったが、
二週間ほど低空飛行の後
落下するに至った。
風邪を引いて寝込むといつものことではあるが、
自分の不要さについて延々と考える。
そしてこのまま死ぬかもしれない
などと考える。
しかし、死にはしない。
私の中の白血球は私を生かそうとして闘い
私の脳は体温を上昇させて
私を蝕むものを死滅させようとする。
私は敵に立ち向かう私の体のどこかに
ひっそりとあって、
私のために闘う私に対して感謝するとともに、
人というのは、生きようとするように
できているのだということに気付く。
冬の日に。

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