退屈と静寂

淋しさと退屈は違うように
静寂と退屈もまた違うだろうと思う。
この頃のテレビや映画は
少し喋りすぎで、それから音楽で埋めすぎで
何だかうるさいなと思う。
映画やドラマの脚本を見たことはないけれど、
あんなにたくさんの台詞が書いてあるのだろうか。
空白を台詞で埋めることが
作品を作ることなのかなと思う。
たくさんの手続きを滑らかに描いたような
そういう世界に憧れる。
私はもうずいぶん長い間
ひとりで暮らしてきたので、
生活の中での台詞はとても少なくて、
たくさんの台詞の中で進行してゆく物語を見ると、
そんなことが本当にあるだろうかと思う。
人は静寂の中で何かを考えて
作り出してゆくものなのではないかと思う。
手続きを表現する映像に
山盛りの台詞や音楽を付けなければ
魅力的ではないのだとすると
映像というものは
まだまだ発展の途上なのだろう。
写真が好きで、写真を撮るのは
そこに静寂というものがあるからだと思う。

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