回転軸

そしてよいものは輝いています。
光を柔らかく受け止めて
その成分を緑色に放つのが春の特徴でしょう。
遠くに見えるものと
近くに見えるものがあります。
そのどちらも尊い物で
私は目を細めてそれを見ます。
それがすぐに失われてしまうのではないかと思って。
しかし、すぐに失われてしまうのは
もしかしたら私の方なのかもしれません。
地球が回る音を聞いたことがありますか。
モモ焼きの機械みたいに
それは自動的に回っているわけではなくて、
ただ偶然、何もない空間を回転することになっただけで、
私はその偶然の中で発生したものです。
この頃ひとりごとが多いような気がします。
もちろんそれが
誰かの迷惑になるはずはないのですが、
私の中に生まれる変化というものを
袋に詰めて、ゴミの日に出したいような気がします。
燃えた物は空に帰り地に帰るということを知っています。
質量は保存されているのです。
何も無くなりはしないのです。
そんないっぱいのドラマを演じてみたところで、
やはり誰かの喜びにつながるわけではないでしょう。
窓を開けて眠るにはまだ早い季節、
インゲンは摘み取られて
スーパーマーケットの店先に並ぶのです。
私は夜に
口笛を吹いてみたくなります。

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