空は白色で
太陽は雲の向こうの点だった。
洗濯物は冷たく揺れており、
ゴミ処理工場の煙突から
南にたなびく煙を
硝子越しに私は見ていた。
祝日という時間が通り過ぎていた。
どこかに出掛けたいような気がしたが、
出掛けて何かをしている自分のことを
想像してみると
あまり楽しそうではなかったから
日がな一日
ハードディスクレコーダーに録り溜めた
テレビジョンの番組を
観たり編集したりして過ごした。
もちろんそれは
観るために録ったものだから、
間違ったことをしているわけではないが、
何となく時間を
無駄にしたような気分になるのは何故だろう。
編集してどうするのかというと、
ブルーレイディスクに焼き付けて
ハードディスクから消すのである。
そうやって録画するための
隙間というものを作らねばならない。
しかし、私は
何のためにブルーレイディスクに
一度観た番組を焼き付けているのだろう。
いつこれを
もう一度観るのだろうか。
そう考えると妙な気持ちになった。
もしかしたら私は
これを誰かに見せたいと思っていて、
それでこうして編集してチャプターまで打って
円盤に焼き付けているのではないか
そういう疑念が湧いてきた。
自分がよいと思ったものを
誰かに見せたいという気持ちは
大変自然なものであるけれど、
実際にはそれを誰かに見せる機会などない。
それは迷惑なことでしかない。
誰かなどというものも存在しない。
名前のないものは、脳内にいる亡霊のようなものだ。
そしてさらにそれを自分で観る機会も
たぶん、ほぼないのだ。
書き込みの進捗を示すバーが
どんどん右側に進んでゆくのを見ながら
そんなことを考えていた。
でも、
どんなことも「気が済めば」いいのだ
そういうふうにも思う。
自分のすることを否定しなくともよい。
些細なことを許し
些細なことで傷つけないことが
生きるための道を
濃く見せることかもしれない。
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