無色

雨には色がない。
透明である。
しかしそれが地上に落ちて
流れたり染み込んだり
何かの別の物に
そして私たちに含まれた時
それは色を持つ。
緑や茶色や赤や肌色や黒色を
あらゆるところで芽生えさせる。
色のないことは
とてもシンプルだけれど
とても奇跡的なことだ。
しかし、その奇跡的なことは
私たちの周りに
あふれんばかりにある。
私たちは奇跡で満たされている。
そしてその奇跡は
「普通」という言葉で表現されている。
言葉を使って
何かをしようと思っているけれど、
実際は言葉よりも
美しいものを知っている。
そういうものが雫となって
落下してゆくところを
言葉によってすくい取ることが
できないだろうかと思う。
透明なことばを
探している。

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