穏やかな人の声を
聴いていたいと思う日曜日
風は止まず
僅かに開いた窓の唄を歌う。
するすると
時間は流れて
またしても闇に溶けてしまう。
「抗生物質欲しい?」
白衣の男はそう言った。
「普通だったら処方しないけどね」
普通とは何か
私は考えて黙っていたが
「はいはい、じゃぁ五日分出しておきますよ」
眼鏡を上げながら
男はそう言った。
それで終わりである。
もちろんそれが目的だった。
私は武器を手に入れるために来た。
闘わなければならないから。
そして混み合った待合室で
いきなり立ち上がって体操を始める老婆を見た。
そのような中で、じっと待っていたのだ。
しかしこの男は
言葉がどれほど人を癒すか
知らないのだろうか。
自分が求めていないものを
人に提供することは難しい。
そして、自分が求めているものを
知ることも難しい。
必要なのは多分反射なのだ。
投げて、はね返ってくる何か。
そういうものを探しにゆく。