はなのゆくえ

桜が花びらを離すところを見て
もう用は済んだのだ
ということを知る。
いつまでも、
美しく咲いている必要はないのだ。
それはまるで絶望のように
風に舞うが
命として次のステップに進んだのだ。
それはひとつの希望でもある。
今朝の雨が、丹念に流してゆく
川面の花びらは
濁った水に飲み込まれて
どこかに消えた。
見上げた空は白くて
あたりは、雨が立てる音に
満たされている。

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