poison

いつものようにドトールで書き物をしていたら
二十代後半くらいのカップルが、
低い磨りガラスのパーティションの向こう側で
ぶっちゅーとキスをしているのが見えた。
彼らは離れては近寄ってキスをし、
また離れては近寄ってキスをする
ということを繰り返していた。
まるで、エタノールの入った水飲み鳥のようだった。
男はスーツを着ており、女はカットソーに短いスカート姿だった。
キスというのは、あんなにも顔を傾けるものだっただろうか。
心のどこかから、寂寞感が染み出してきて、
僕は黒い珈琲をごくりと飲んだ。
珈琲は冷めていて、そして苦かった。

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