無題という名の題名

いつも、心を静かな場所に置いて
それから、言葉を選んで
文章を書かなければ、と思っている。
そうしないと、言葉に力を与えられないから。
物語よりももっと、言葉そのものに
力を与えたいと思う。
物語はいつも消費され、失われる。
私はもっと、永遠の欠片を見つけたい。
無駄だと分かってはいるけれど。

今日は一日、雨が降っていた。
傘を差して出掛けたけれど、左肩が濡れた。
きっと傘の差し方がよくないのだと思う。
右手で傘を持つ場合、だいたい傘は右側に
寄って差すことになるのだから、
右側より左側の方が大きい傘ならいいのに。
傘が円形である必要なんてないじゃない。
そんなことを考えながら
雨の街を歩いた。

病院というものは
何かそれ自体が意志を持っていて
絶対的な強さがあると、ずっと思っていた。
しかし、加齢によって病院に行くことが増えると
そんなことはなくて、普通の会社のように
人で出来ていることが分かってきた。
飲食店と同じように、相手の顔をよく見て
心を使う必要があるのだ。
それがよく出来ている病院というのは
残念ながらあまりない。
「先生」と呼ばれる職業の人たちもまた
心を静かな場所に置かなければならない。

予約した時間から、一時間待って診察を受けた。
血圧の薬を増やした。
それから、風邪薬を処方してもらった。
ここのところ怠いなと思っていたけれど、
どうも風邪をひいたようだ。
熱を測ったら38度だった。
免疫力が落ちている。
じゃがいもと玉葱、さやえんどうの味噌汁を作って食べた。
ゆうべ再放送された、フジコヘミングのドキュメンタリーの中で
彼女がじゃがいもの味噌汁を食べていて、
じゃがいもを食べないと力が出ないと言っていたから。

そうして結局、何もかも捗らない普通の週末。
私は鼻をやられていて、食べ物の香りが分からない。
ただ、甘いか辛いか、平面的な味しか吟味できない。
歯も少し痛む。
抗生物質を飲んで眠ろう。

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