何もかも吹き飛んでしまいそうな
強い風が吹いたあと
四月になった。
季節というのは、
荒れ狂った後に変わる物だっただろうか。
そうだったような気もするし、
たまたまそういうことに
出くわしただけのような気もする。
必然性というものが
無ければつまらないけれど、
画用紙に書いた鉛筆の線に
水彩絵の具で色を塗ってゆくような
そういうことが
季節というものであって欲しいと
願っている。
夢から覚めたあと
布団から出るまでの間、
何かとても良いことを思いついたのだが、
それが何だったのか
もう思い出せない。
思い出せないことは
たいしたことではないのだと言うけれど、
そうだとすると
何もかもが、たいしたことではなくて、
たいしたことのない物の詰め合わせで
日々が出来ているなんて
そんなの嘘だと言って欲しい。
ずっと昔から世界は
一年中エイプリールフールなのだから。