天気図

秋雨前線が北から降りてくる。
緞帳のように降りて夏が幕となる。
そういうことを見せてくれるのが
天気図である。
小学生の頃、夜、気象通報を聞きながら
天気図を描く練習をしていた。
「御前崎、南東の風、風力三、晴れ、
 十一ミリバール、二十四度・・・」
この頃の天気予報では
天気図がほとんど表示されない。
アメダスのデータを元にした表示と
雨雲のレーダー情報と降水確率。
人々は答えを求めているのだろう。
天気図は理由を示しているが、
いまの世の中に理由は不要になっている。
気圧配置と風向きから空のことを
想像するのが好きだった。
結果と結論だけの世界には
物語がなくつまらないと私は思う。
そうだ、私が求めているのは物語である。

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