電池

いつの間にか三月になっている。
南からの風がごうごうと音をたてて、
砂や塵や花粉を舞いあげているのか
世界は薄茶色に霞み
目や鼻に違和感がある。
それが春というものだとすると
喜ぶべきことなのかもしれない。
湿度が少し上がってくれると助かる。
私は電気を溜めやすいようだ。
たぶん水分が多いからではないか。
だから冬場、乾燥していると金属を
触るたびに体に溜まった電気が
ばちんと音がするほどの勢いで
地球に流れてゆく。
いつでも金属を触るのが怖く、
車のドアを恐る恐る触る日々が続く。
この電気を何か有効なことに
使えないものかと思うのだが、
今のところ、特にいいアイディアはない。
世の中は電気で動いている。
この頃は、車も自転車も電気で動く。
「電池」という言葉を考えた人は
素敵だなと思って調べてみたら、
昔は硫酸を箱に入れて電極を
垂らしていたので液体を溜めているから
本当に「池」だったようで、
それは想像ではなくて現実だったようだ。
何かを想像することは楽しいことだけど、
現実に繋がると色々と別の思惑が渦巻いて
いやらしくなってゆくような気がする。

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