借用

等圧線のドレープが見えてくると
雨の季節が近づいていることがわかる。
そうして進んでゆくように見えて
実は戻ってゆくのかもしれない。
私たちは生まれてから
たくさんのものを手に入れるが、
やがてたくさんのものを返してゆく。
いっぺんに返すのか
それとも少しずつ返すのか
それだけの違いで、返すことに変わりはない。
どんなものも
どんなことも
借り物なのだ。
大切に使って、大切に返そうではないか。
「わたしのもの」なんて、
ひとつもないことに気付ければいい。
少し風がでてきたようだ。
レースのカーテン越しに洗濯物が揺れているのが見える。


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