夜に
ジャスミン流れていた。
よく見ると
生垣に白い花たくさん咲いていた。
その香りは
幼い頃に忍び込んだ
製茶工場の暗がり思い出させる。
蒸した新茶の葉
ベルトコンベアー昇って行く。
青い香り時空を越えて
過去の扉開けるのだった。
五月の
雨が降るまでほんの短い間
そのトンネル開いている。
どこまで行っても
構わないと誰かが言う。
どこにも行けやしないさ
私の中、私が言う。
気づいたら知り合いは
金を払う場所か、
金を稼ぐ場所でしか
会わない会えない人ばかりに
なっていた。
私は人間関係、金で維持している。
別にそれが悪いわけではなく
生まれ育った場所ではないところで
家族持たず
恋人持たず
独り暮らす年寄りにとって
よくあることなのだろう。
私が病気になったり
仕事を辞めたりして、
稼げなくなった時、
人間関係はあっという間に
損なわれるであろう。
「ともだち」とは何であったか
私はすでに忘れつつあるようだ。
物語の問題を解決するのは
物語しかないのだと
誰かが言っていた。
今夜北風吹いている。