春はどこに来るのか

去年の春を覚えているか
というとちょっと怪しい。
私は去年の春に何を想い何をしていたのか
全然思い出せない。
存在というのは希薄なものだ。
宇宙の暗闇に
黒い点を打ったように存在し、
何とも関連を持っていなければ
そこに物語は存在せず、
ただの黒い点として完結する。
楽しいことも、悲しいこともなく
星は回っており、
私もまた回っている。
ただ食べたり飲んだりしていただけで、
生命の継承については
まったく加担していないが
ただ金銭をパスするという役目のみで
今日まで存在している。
自分の存在を肯定するとすれば、
その程度だろう。
ところで重さとは
重力のことである。
重力は常に変化しているので、
重さもまた変化しているのだそうだ。
震災後には地球の中身のバランスが
少し変わったせいで
重さも変わったのだそうだ。
魂には重さがあるのだと聞いた。
そうだとすれば、魂もまた星に縛られていて、
その重さも変わったのだろうか。
春はまもなくおとずれるだろう。
どんな人にも。

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