別緑色世界

夜のスーパーに万願寺とうがらしがあった。
私はそれを手に取って眺めていた。
外は雨が降っていた。
パックに入って山積みになったそれは
鮮やかな緑色であった。
緑は光をエネルギーに変える力を持っている。
まるでソーラーパネルのように。
私はそれを羨ましく思った。
幼い頃、緑は憧れの色であった。
山の中で育った私にとって
緑はどこにでもあったのだけれど、
沢山あるからといって疎んじてはいなかった。
何もかもが緑ならばよいと思っていた。
それらは光を欲し、光のためにあった。
私は満願寺とうがらしを籠に入れた。
それからその他の緑に目を走らせた。
外は雨が降っていた。

カテゴリー: 諸行無常 パーマリンク