落ちてくる
というより吸い寄せられている
と思うことで
ずいぶんと世界は変わってくる。
尖った棘。
薔薇の棘のような前線が
内側は丸いということを
私は知っている。
それは雨のラインだ。
午後五時になると
鐘の音が響いてくる
たとえそれが
電子的に合成されたものだとしても
立ち並ぶマンションの谷間にこだまして
薄く広がり、
夕闇を呼んでいることには変わりがない。
空はいつまでも暗くて
人々は傘を差して
災いをよけていた。

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