月別アーカイブ: 2016年7月

怪物

見えない人と 見える人がいる。 見える人は四角い硝子の向こう側に その可愛らしい怪物を見つけて そしてボールを投げる。 見えない人にとっては あるいは見ない人にとって それは不思議な光景である。 そのようにして 一夜にし … 続きを読む

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休暇

仕事を休むと、夏がわかる。 蝉は鳴いて異性を求めているし、 学生は自転車に乗って通り過ぎ、 日傘を差した婦人がバスを待っている。 私は季節もわからないような場所に 仕事に行っているのだろうか。 宇宙の果てのように遠い場所 … 続きを読む

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物理的なわたしの存在

わたしはいったい どこにいるのかということを 時々考える。 たぶん脳の片隅のいくつかの細胞が わたしがわたしだと思っているわたしである。 きっとそれは、わたしという認知を 支えているものであるが、 「からだ」というもの全 … 続きを読む

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ひとりのメソッド

ひとりで暮らしている。 毎朝、味噌汁を作る。 毎朝、洗濯をする。 気楽なんかじゃない。 自分の形が時々分からなくなる。 「ものさし」というものを わたしは持っていないから。 毎日一枚、古いジャズかポップスのレコードを聴く … 続きを読む

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キウイフルーツ

キウイフルーツの旬は冬だそうだ。 長い間夏だと思っていた。 ずいぶん昔のこと、 ある日母が近所でキウイの苗木を貰ってきて 家の前の畑に植えた。 キウイはぐんぐん伸びて、そして実を付けた。 「あぁなったなった」 母はそう言 … 続きを読む

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追憶

どんなに嬉しかったことも どんなに悔しかったことも どんなに悲しかったことも 僕はきっと忘れるだろう。 そうしてそれらはただ 天井の染みのようになっているだろう。 僕はただ黙って それをいつまでも眺めているだろう。 それ … 続きを読む

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文月

とても暑い。 それが七月の洗礼というものだろうか。 スーパーにバジルの葉は無かった。 ジェノベーゼを作ろうと 心の中で決めていた私にとって それは大きな痛手であったが、 レシピというものは ある一方方向からの見方なのであ … 続きを読む

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