夜はもっと静かで 夜はもっと冷たく 夜はもっと個人的で 夜はもっと秘めていた そう思ってきた。 酔った深夜の路上で ふと気付くと私は 夜からはみ出していた。 夜はもう私のために存在しない。 裏切ったのか 裏切られたのか 夜が遠ざかったのか 私が遠ざかったのか 分からないけれど とにかく明らかに 離れてしまった。 ただひとりの理解者であったはずの 私の夜はどこにもなかった。 ただ人工的な灯りが どこまでも続く アスファルトの道の上に 私は立っていた。