現実味

年が明けると
そこには新しい年の世界が広がっているが、
私には現実味がない。
ひとは常に明けており、
常に新しい世界が広がっている。
だから、何かが新たに明けた気がしないのだ。
それが、私にとっての現実味というものだろう。
そしていくつもの日々が
通り過ぎてゆくのを私は今までと同じように
どこか遠くで眺めているのである。
新たに手に入れるものと
新たに無くすもののバランスは
取れているのかどうか
少しだけ考えてみるけれど
金銭出納簿のようにそれが
付けられるわけではないことに
私は気付くのである。

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