浮遊

柿の木の根元のアスファルトに
秋が散らばっていた。
そうか君はもう終わりなのか
と思う私はマフラーを巻いている。
絶対的は精神が物質を作るのではなくて、
物質が集まってくることによって
精神というものが生まれるのだと
思っていますと、宇宙飛行士は言った。
いいですかみなさん、
どこまでも真っ黒で何も無い空間に
ぽっ、と地球が浮いているのです。
何かが支えているわけではなくて
ただふんわりと浮いている
そんなことは前から知っていたけれど
それを見た時、わたしは腑に落ちたのです。
彼はそう言った。
遠い目をしていた。
ここに無いものを彼は見ている。
私は形の無い物を
取り出そうとしていた。

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